「フジサンケイグループ、ヤフーと提携へ」
ライブドアとフジテレビのニッポン放送株争奪戦をみていると、5年ほど前のAOLとタイムワーナーの合併を思い出します。当時、「新興のネット企業がオールド・メディア企業を買収した。オールド・エコノミーがニュー・エコノミーの軍門に下った」とする論が大勢を占めました。がしかし、私は配信していたメールマガジンで「AOLとタイムワーナーが合併~いよいよ始まった"ババ抜き"」と題して別の見方を紹介しました。すなわち、急激に膨張したために中身の伴わないAOLが、その欠点を補い延命を図るための止まり木を見つけたに過ぎないと指摘したのでした。勝ったのはAOLだとする見方がほとんどのなかで、勝ったのはタイムワーナーだと主張したわけです。実際どうなったかはご案内の通り。AOLの創業者でこの合併の主導者だったSteve Case(スティーブ・ケース)さんは会社を追われ、経営の主導権はタイムワーナー側に戻っています。
彼の失敗は、シナジーを生み出せなかったことにあります。その原因のひとつはブロードバンドの普及が進んでいなかったことがあげられます。映画や放送のコンテンツを豊富に持っていても、それを配信する術がなければどうしようもありません。さらにアメリカではケーブルテレビが普及していて多チャンネル化が進んでいることも見逃せません。使い慣れたテレビでそこそこ自分の好みに合ったコンテンツを視聴できるのですから、新しいメディアに乗り換える人が多くなかったのも当然と言えば当然です。
ライブドアの場合、アメリカほどケーブルテレビが普及していなくて、なおかつ世界トップクラスのブロードバンド環境の整っているマーケットがあるという僥倖に恵まれています。ですからもしかしたら大化けするかもしれません。けれども、私の見るところではその可能性はかなり低いと思います。というのは、堀江さんの話を何度聞いても儲かるビジネスモデルが見えてこないからです。
堀江さんは、「新聞・テレビを殺します」~ライブドアのメディア戦略のなかでネットの特徴として「オンデマンド」「インタラクティブ」「ニッチ」の3つをあげています。この指摘には私も異論はありません。けれどもこれが儲けにつながるかと言うとちょっと疑問です。欲しいときに欲しい情報が得られるオンデマンド性ですけれども、オンデマンド配信を始めたら広告の価値がなくなります。放送枠が限られているから広告に希少価値が出てくるのであって、オンデマンド配信になったら広告価値のデフレーションが進行するでしょう。成果保障型なんてことになるかもしれませんね。成果保障型広告で収益を上げようとするととてつもなく多くのトラヒックを獲得しなければならなくなるでしょう。その点をどう考えているのでしょうね。
それともう一点。編集についての考え方に無理があると思います。「必要な時に必要な情報が得られれば良い」と言います。編集なんてものは押し付けに過ぎず、そんなものはいらないと言うのです。でもその情報は誰が集めるのでしょうか。韓国の「オーマイニュース」を念頭に市民記者のようなものを想定しているようなのですが、「オーマイニュース」の価値を生み出している骨格情報はプロの仕事によってもたらされていることを見落としているか無視していますね。
これらのことを考えると、本当に企業価値を高められるのか甚だ疑問なのであります。
一部では織田信長に擬した論を展開する向きもあるようですけれども、信長とはまるで違うでしょう。やっていることは二番煎じ、三番煎じでちっとも革新的でありませんし、一見改革者のように振舞っているのかとみえますが、実際には立ち回り方が下手で無用のコンフクリクトを起こしているだけです。いきなりボカンと殴っておいて、後になって「仲良くしようよ」と言ったって仲良くしてくれるわけがないじゃないですか。その点、ヤフーの方が洗練されていますね。
ヤフー、ネット広告のバリューコマースを買収へ ヤフーは28日、成功報酬型のインターネット広告「アフィリエイト・プログラム」を手掛けるバリューコマース(東京・文京、ブライアン・ネルソン社長)を買収すると発表した。公開買い付け方式で既存株主から発行済み株式の約55%を買い集める計画で、買い付け額は計109億円を見込む。ネット競売やネット通販への誘客などに活用する狙い。公開買い付けは3月1日から4月11日まで実施する。創業者のティモシー・ロナン・ウィリアムズ会長らバリューコマースの現経営陣が所有する株式4万1971株を一株26万571円で買い付ける。株主の了承はすでに得ているという。未行使の新株引受権と新株予約権が行使された場合、ヤフーの出資比率は45%強に下がるが、筆頭株主にとどまる。
NIKKEI NET (2005年2月28日19:08) より
東京地裁の判断は明日でしょう。どのような結果になるかわかりませんが、あえて予想すると一般論としては「フジテレビを引受手とする新株発行予約権の発行は認められないが、今回のニッポン放送のケースに限っては緊急避難的な措置として認める。ただし、発行量を減らせ」といったところではないでしょうか。
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