対日報復関税で牛肉解禁迫るアメリカの愚か
ワシントン州で最初のBSE感染牛が見つかったのが一昨年の12月。以来、アメリカからの牛肉輸入が途絶えている。日本政府が輸入を禁止しているからなのだが、それに対して痺れを切らした米議会が「今年12月15日までに輸入再開されなければ報復関税をかける」とする法案を上院に提出したのだそうです。
米共和・民主両党の上院議員団は26日、日本が年内に米国産牛肉の輸入を再開しない場合、日本製品に総額31億4000万ドル(約3600億円)の報復関税を課すとする対日制裁法案を上院に提出した。米通商代表部(USTR)が12月15日までに輸入の再開を証明できなければ、年末に報復関税を発動するとしている。
(日本経済新聞<電子版>2005年10月27日)
う~ん、何か米議会は勘違いしているのではないでしょうか。それこそ力づくで輸入を再開させたとしても、日本の消費者はソッポを向くだけです。日本国内でBSE感染牛が見つかったときに、全頭検査という当時の科学的知見からすると非常識としか言いようのない対策を実施しなければならなかったように、食の安全に敏感な日本の消費者を相手にしていることを忘れているようです。現在取られている禁輸措置は、単に米国産牛の輸入を妨げるためだけに取られているのでないことを認識する必要がありますね。
アメリカの畜産業者が取るべき策は消費者の不安を払拭するような改革の実施であったのに、それにはまったく手をつけず、旧来の自分たちのやり方を踏襲しようとしてきました。もっと早く自己改革に着手していれば禁輸措置が解かれていたかもしれないのに……。
「我々が食べていて何の問題もないのに、日本が輸入を禁じているのは非関税障壁にほかならない」と言いたいのでしょうが、日本には日本の国民の完全を保証する役目があります。どんなに国際的に見ておかしな措置であろうと、それで消費者の安心が担保され消費に滞りを発生させていないのですから、その措置を是とすべきでありましょう。郷に入りては郷に従えというやつですよ。
ちなみに朝日新聞社が行った調査によれば、日本の消費者の67%は米国産牛肉輸入再開に反対、という結果が得られています。
米国産牛肉輸入再開に「反対」67% 本社世論調査
2005年10月25日19時31分米国産牛肉の輸入が年内にも再開される可能性が高まるなか、輸入再開に反対の人
が67%で、賛成は21%にとどまることが、朝日新聞社が22、23日に実施した
全国世論調査で明らかになった。昨年10月の調査のほぼ同じ質問に対する「反対」
(63%)を上回る。「国産牛と同等の安全性」を焦点に政府の食品安全委員会での
審議が大詰めを迎えているが、消費者の不安はなお根強いといえそうだ。日米合意に基づき、生後20カ月以下の牛については牛海綿状脳症(BSE)検査
なしで輸入を再開することの是非について聞いたところ、あらゆる年代で反対が賛成
を大きく上回った。反対は女性で特に多く74%で、男性でも59%にのぼった。一
方、賛成は全体で21%。昨年10月の調査時の26%から減少した。「輸入が再開されたら食べたいと思うか」という質問には、67%の人が「食べた
くない」と答え、昨年10月調査の同じ質問に対する63%を上回った。一方、「食
べたい」と答えた人は昨年の28%から23%に減った。「食べたくない」人は、女性で77%、男性では56%。米国産牛肉の輸入再開に
「賛成」と答えた人の中でも、4人に1人は「食べたくない」と答えた。20代の男
性で「食べたい」「食べたくない」が共に47%で並んだほかは、年代・性別を問わ
ず、「食べたくない」が上回った。「牛肉の原産地表示が義務づけられていない外食や加工食品にも原産地を表示する
べきだと思うか」についても聞いたところ、「表示するべきだ」と答えた人が81%
で「そうは思わない」の12%を大きく上回った。
上の記事を見つけ出す過程でこんな記事も見つけました。
http://www.asahi.com/international/update/1018/011.html 英からの救援非常食「BSE心配」 米で1カ月以上放置米国南部に今年8月、大きな被害をもたらした大型ハリケーン「カトリーナ」の被
災者救援のため、英政府が送った非常食33万食分が、たなざらしになっている。米
国での流通が禁止されている英国産の牛肉が含まれていることが理由だ。米国務省は連邦政府の対応の遅れが指摘された当初、約50万人分の非常食が必要
になるとして、各国の米大使館を通じて寄付を要請。英国は最初に反応した国の一つ
だったといわれる。しかし、同省のエアリー副報道官は、非常食がアーカンソー州の倉庫に1カ月以上
保管されたままになっていることを認めた。米政府は、牛海綿状脳症(BSE)への
心配から英国産の牛肉の流通を禁止しており、被災地でも例外を認めなかった形だ。
同副報道官は「友情と善意でもらった非常食だけに、同じやり方で取り扱いたい」
と述べ、受け入れ可能な途上国などに「再輸出」する方針を示した。
朝日新聞<電子版>2005年10月18日21時36分
こんなことやっておいて日本人を批判できます?
おっ、そういえばBSE感染牛が確認されたという理由で米国は日本からの牛肉の輸入を禁止したままになっているのではなかったっけ?
ちょいとご都合主義がすぎるのではないかしら。
今、米国畜産業界が取るべき手は、日本の消費者の安心を担保する策を積極的に打ち出すことでしょう。市場指向の大切さを解いたマーケティングの発祥の地で、マーケティングのイロハ、いやいやABCを無視した動きをしていて大丈夫なのでしょうか? ちょいと心配であります。
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