« 楽天とTBS統合の行方 | Main | 『クーリエ・ジャポン』創刊 ~ "地球まるごと情報誌"は時代の申し子 »

October 28, 2005

対日報復関税で牛肉解禁迫るアメリカの愚か

  • 米議会が年内の牛肉輸入再開を求めて報復関税をかける法案を提出。

  • この対日報復関税法案の提出は、日本の消費者を敵に回してしまう可能性がある。

  • 今、米国畜産業界が取るべき手は、日本の消費者の安心を担保する策を積極的に打ち出すことである。


ワシントン州で最初のBSE感染牛が見つかったのが一昨年の12月。以来、アメリカからの牛肉輸入が途絶えている。日本政府が輸入を禁止しているからなのだが、それに対して痺れを切らした米議会が「今年12月15日までに輸入再開されなければ報復関税をかける」とする法案を上院に提出したのだそうです。
米共和・民主両党の上院議員団は26日、日本が年内に米国産牛肉の輸入を再開しない場合、日本製品に総額31億4000万ドル(約3600億円)の報復関税を課すとする対日制裁法案を上院に提出した。米通商代表部(USTR)が12月15日までに輸入の再開を証明できなければ、年末に報復関税を発動するとしている。
(日本経済新聞<電子版>2005年10月27日)

う~ん、何か米議会は勘違いしているのではないでしょうか。それこそ力づくで輸入を再開させたとしても、日本の消費者はソッポを向くだけです。日本国内でBSE感染牛が見つかったときに、全頭検査という当時の科学的知見からすると非常識としか言いようのない対策を実施しなければならなかったように、食の安全に敏感な日本の消費者を相手にしていることを忘れているようです。現在取られている禁輸措置は、単に米国産牛の輸入を妨げるためだけに取られているのでないことを認識する必要がありますね。

アメリカの畜産業者が取るべき策は消費者の不安を払拭するような改革の実施であったのに、それにはまったく手をつけず、旧来の自分たちのやり方を踏襲しようとしてきました。もっと早く自己改革に着手していれば禁輸措置が解かれていたかもしれないのに……。

「我々が食べていて何の問題もないのに、日本が輸入を禁じているのは非関税障壁にほかならない」と言いたいのでしょうが、日本には日本の国民の完全を保証する役目があります。どんなに国際的に見ておかしな措置であろうと、それで消費者の安心が担保され消費に滞りを発生させていないのですから、その措置を是とすべきでありましょう。郷に入りては郷に従えというやつですよ。

ちなみに朝日新聞社が行った調査によれば、日本の消費者の67%は米国産牛肉輸入再開に反対、という結果が得られています。


米国産牛肉輸入再開に「反対」67% 本社世論調査
2005年10月25日19時31分

 米国産牛肉の輸入が年内にも再開される可能性が高まるなか、輸入再開に反対の人
が67%で、賛成は21%にとどまることが、朝日新聞社が22、23日に実施した
全国世論調査で明らかになった。昨年10月の調査のほぼ同じ質問に対する「反対」
(63%)を上回る。「国産牛と同等の安全性」を焦点に政府の食品安全委員会での
審議が大詰めを迎えているが、消費者の不安はなお根強いといえそうだ。

 日米合意に基づき、生後20カ月以下の牛については牛海綿状脳症(BSE)検査
なしで輸入を再開することの是非について聞いたところ、あらゆる年代で反対が賛成
を大きく上回った。反対は女性で特に多く74%で、男性でも59%にのぼった。一
方、賛成は全体で21%。昨年10月の調査時の26%から減少した。

 「輸入が再開されたら食べたいと思うか」という質問には、67%の人が「食べた
くない」と答え、昨年10月調査の同じ質問に対する63%を上回った。一方、「食
べたい」と答えた人は昨年の28%から23%に減った。

 「食べたくない」人は、女性で77%、男性では56%。米国産牛肉の輸入再開に
「賛成」と答えた人の中でも、4人に1人は「食べたくない」と答えた。20代の男
性で「食べたい」「食べたくない」が共に47%で並んだほかは、年代・性別を問わ
ず、「食べたくない」が上回った。

 「牛肉の原産地表示が義務づけられていない外食や加工食品にも原産地を表示する
べきだと思うか」についても聞いたところ、「表示するべきだ」と答えた人が81%
で「そうは思わない」の12%を大きく上回った。


上の記事を見つけ出す過程でこんな記事も見つけました。

http://www.asahi.com/international/update/1018/011.html 英からの救援非常食「BSE心配」 米で1カ月以上放置

 米国南部に今年8月、大きな被害をもたらした大型ハリケーン「カトリーナ」の被
災者救援のため、英政府が送った非常食33万食分が、たなざらしになっている。米
国での流通が禁止されている英国産の牛肉が含まれていることが理由だ。

 米国務省は連邦政府の対応の遅れが指摘された当初、約50万人分の非常食が必要
になるとして、各国の米大使館を通じて寄付を要請。英国は最初に反応した国の一つ
だったといわれる。

 しかし、同省のエアリー副報道官は、非常食がアーカンソー州の倉庫に1カ月以上
保管されたままになっていることを認めた。米政府は、牛海綿状脳症(BSE)への
心配から英国産の牛肉の流通を禁止しており、被災地でも例外を認めなかった形だ。


 同副報道官は「友情と善意でもらった非常食だけに、同じやり方で取り扱いたい」
と述べ、受け入れ可能な途上国などに「再輸出」する方針を示した。
朝日新聞<電子版>2005年10月18日21時36分


こんなことやっておいて日本人を批判できます?
おっ、そういえばBSE感染牛が確認されたという理由で米国は日本からの牛肉の輸入を禁止したままになっているのではなかったっけ?
ちょいとご都合主義がすぎるのではないかしら。

今、米国畜産業界が取るべき手は、日本の消費者の安心を担保する策を積極的に打ち出すことでしょう。市場指向の大切さを解いたマーケティングの発祥の地で、マーケティングのイロハ、いやいやABCを無視した動きをしていて大丈夫なのでしょうか? ちょいと心配であります。

[広告]お買い物は電網遊楽市場で!

|

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/81227/6711191

Listed below are links to weblogs that reference 対日報復関税で牛肉解禁迫るアメリカの愚か:

» 自分の食べる牛肉を自分で選んで何が悪い [斜45°]
なあ、日本はん。 最近おたく、ウチから牛肉買うてくれへんそやないけ。どないなってんねん。 え、ウチの牛肉が狂牛病に汚染されてるやて? そんなことあらへんがな。ちゃんと検査してまっせ、ちゃんと。そらぁ、おたくトコみたいに全部検査したりはしてまへんけどな。 20ヶ月より若い牛には病気出えへんらしいさかい、ちゃんと目ェで見て若そうな牛だけを送らせてもらいまんがな。 だいたいでっせ、おたくトコみ�... [Read More]

Tracked on October 29, 2005 at 12:57 PM

» 米牛肉輸入再開を容認(食品安全委専門調査会) [ブログで情報収集!Blog-Headline]
「米牛肉輸入再開を容認(食品安全委専門調査会)」に関連するブログ記事から興味深いものを選んでみました。ぜひ、読み比べてみ... [Read More]

Tracked on October 31, 2005 at 05:57 PM

» 【牛に鶏糞】鶏糞への肉骨粉混入率を30%程度とFDA要官見積(=年間30万トン?) [BSE&食と感染症 つぶやきブログ]
■【牛に鶏糞】鶏糞への肉骨粉混入率を30%程度とFDA要官が見積(=年間30万トンの肉骨粉が牛へ?) 牛への鶏糞ごみ飼料=poultry litter について、全国食健連が主催したBSE講演会のジョン・スタウバーさんの資料に以下の件がありましたので、転載させていただきます。 >毎年約100万トンの鶏の糞尿が牛に与えられている。鶏舎の床などから掃き集めるため、これに肉骨粉入りの飼料が混入している可能性は大きい。F... [Read More]

Tracked on November 03, 2005 at 06:18 PM

» 食べる物の判断基準って? [●マーケティング室よりトップマネージメントを目指すBlog●]
いやはや 外交って難しいっていうか ずうずうしいっていうか・・・ ようやく牛肉の輸入再開が生後二十ヶ月以下の牛の肉に 限る見通しだというのに、 ゆくゆくは、三十ヶ月に・・と米国から要求があるとのこと 牛の延髄などを摂取したりすると 人間も狂牛病(?)になる... [Read More]

Tracked on November 06, 2005 at 10:35 PM

» 答申なんか信用してません [真夜中の国語辞典blog版]
23ヶ月齢、21ヶ月齢の感染牛が発見されているというのに20ヶ月齢の牛が安全だと言いきれるのか、まるで沈没した船は危険だが沈没中の船は安全だと言わんばかりではありませんか。ぐぐれば多々出てくる20ヶ月。20ヶ月なら絶対に安全なのではなく、検査で検出できないだけです... [Read More]

Tracked on January 02, 2006 at 11:34 AM

Comments

もう、怖くて、検査できないのかも知れませんよ。


狂鹿病問題:鹿ハンターからヤコブ病26名発生 
そして鹿肉骨粉や油脂・エキスの行方は?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2

Posted by: moumou | October 30, 2005 at 09:31 AM

moumouさん、コメントありがとうございます。
ご案内いただいたブログ(BSE&食と感染症 つぶやきブログ)、早速おじゃまさせていだきましたが、恐ろしい話がゾロゾロ出てきますね。

少なくとも肉骨粉の流通をアメリカが認めている限りは米国産牛肉の輸入再開は認めるべきではない、と私は思います。一応、牛には禁じられていますが、豚や鶏には認めているわけでしょ。それが混入しないという保証はありませんからね。


ところで、ひとつ疑問があります。日本以上に活発なはずのアメリカの消費者運動の動きが伝わってこないことです。これだけ危ない話がゴロゴロしているのに、アメリカの消費者運動家たちが沈黙しているはずがありません。もしBSE関係のアメリカの消費者運動の動きをご存知でしたら教えてください。

Posted by: 平 誠 | October 30, 2005 at 12:43 PM

アメリカの対日報復関税は確かに腹立たしいが、データに朝日新聞なんかだしたらバカにされますよ?w

Posted by: 234 | June 23, 2006 at 06:15 AM

Post a comment